制作発表会レポート
9月22日(金)、宝塚歌劇雪組公演 ミュージカル『ひかりふる路(みち)~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』、レヴュー・スペクタキュラー『SUPER VOYAGER!』—希望の海へ—の制作発表会が行われました。
記者会見には、宝塚歌劇団理事長・小川友次、宝塚歌劇団演出家の生田大和と野口幸作、今作が宝塚大劇場・東京宝塚劇場お披露目公演となる雪組新トップコンビ、望海風斗、真彩希帆に加え、『ひかりふる路』の全楽曲をご提供いただく世界的作曲家のフランク・ワイルドホーン氏も登壇しました。
豪華二本立てで、新生雪組、出航!
『ひかりふる路』は、18世紀末のフランスを舞台に、フランス革命の中心人物の一人である革命家マクシミリアン・ロベスピエールの波乱の人生を描いた物語。フランク・ワイルドホーン氏が紡ぎだす壮大なメロディーにのせて繰り広げられる歴史ミュージカルです。
『SUPER VOYAGER!』は、「VOYAGER(ヴォイジャー/航海者)」をテーマに、望海風斗のトップスター就任と新生雪組の「船出」を盛大に祝福する颯爽絢爛なレヴュー作品。未来への希望に満ちた場面の数々で構成し、望海風斗の男役の美学と新生雪組の魅力の全てを凝縮した究極のエンターテインメントをお届けします。
ワイルドホーン氏のピアノ演奏による、贅沢なひと時
制作発表会は『ひかりふる路』のパフォーマンスから始まりました。
カーキ色の衣装に凛々しく身を包んだ望海風斗が颯爽と登場すると、会場は一瞬にして作品の世界に引き込まれます。ワイルドホーン氏のピアノ演奏により披露した主題歌「ひかりふる路」に込められた願いは、自由と平等、そして未来への希望。伸びのある声で“ロベスピエールの心の叫び”を力強く歌い上げた望海は、万雷の拍手を一身に浴びました。
続いて、ピンクのドレス姿の真彩希帆が登場すると空気は一変。ロマンティックなムードから不穏な心、固い誓いへと移ろう二人のかけあいの歌「今」は、豊かなドラマ性を帯び、観ている者の心を酔わせました。
望海、真彩のパフォーマンスに続いて、ワイルドホーン氏のピアノソロ演奏が始まります。哀愁を帯びた旋律はストーリーを語り、紡ぎ出されたドラマティックな音色が会場を包み込みました。“重要なシーンで演奏される”という一曲に、作品への期待は最高潮に達しました。
雪組新トップコンビの大劇場お披露目公演『ひかりふる路』『SUPER VOYAGER!』は、二人の魅力が存分に堪能できる2本立てです。新生雪組の出航に、ぜひお立ち会いください!
- 制作発表会 ムービー
『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』は、世界的な作曲家 フランク・ワイルドホーン氏による全楽曲書き下ろしも大きな話題です。「ジキル&ハイド」、「スカーレット・ピンパーネル」をはじめ、楽曲を手掛けたミュージカルは世界中で上演され、愛され続けています。宝塚歌劇でオリジナルの楽曲を提供いただくのは2006年の『NEVER SAY GOODBYE』(宙組)以来2度目。ドラマを盛り上げるメロディーの数々に、今から期待が高まります。
一緒に素晴らしい冒険を
作曲家 フランク・ワイルドホーン(Frank Wildhorn)
「11年前の『NEVER SAY GOODBYE』の稽古初日のことを、私は今でも忘れることがありません。それ以前の私は、宝塚歌劇団によって自分の人生がこんなに変わるとは思っていなかったので、皆様とのご縁を本当に大切に感じています。また、今回も“新しい作品のために作曲を”とご依頼いただき、とても光栄であるとともに、気持ちがワクワクしています。
私の作る曲は必ずしも歌いやすいものばかりではなく、また、歌うにあたり私はアーティストに多くのことを要求します。それは技術面だけではなく、自分をさらけ出してほしいということ、つまり素直であってほしいということです。望海さん、真彩さんの実直な歌を耳にして聞こえてきたのは、“シンプルな真実”でした。私の作る音楽は、その真実から生まれるものです。音楽には、愛と同じく国境がありませんから、私が音楽を作る時の感情や情熱を同じように感じとってもらいパフォーマンスにつなげていただければ、きっと成功につながると考えています。
また、素晴らしい歌手であるお二人にはぜひ“チャレンジ”をしてほしいと思っています。自分自身が心地よく感じるところ、安心に感じるところにとどまるのではなく、大胆に挑戦して、これまで自分が到達したことのないところまで辿りついてもらいたいです。宝塚歌劇団のこれからの100年に向けて、素晴らしい冒険をご一緒させていただけることを楽しみにしております。」
パフォーマンスの後、雪組の望海風斗と真彩希帆が意気込みを語りました。
雪組トップスター 望海 風斗【マクシミリアン・ロベスピエール】
「お芝居では、歴史的な事実を踏まえつつ、そこに至るまでの背景を丁寧に演じることで、今までにない“ロベスピエール像”が生まれるのではないかと思っています。生田先生の思いと、私自身から生まれ出てくるものに、しっかりと耳を傾けて大切につくっていきたいです。フランク・ワイルドホーンさんに全曲作曲していただけるということは夢のようなお話で、先ほどのパフォーマンスでは生伴奏で歌わせていただき、本当に幸せを感じています。全ナンバーが揃ったときのことを想像すると、今からとてもワクワクしています。第二幕のレヴューは、新生雪組の船出に対する野口先生の情熱や、宝塚歌劇への愛を感じる内容になると伺っていますので、とても嬉しい気持ちです。」
新トップスター就任の抱負
「目標を限定することなく、自分たちが信じることを確実にやっていくことがトップコンビとしても良い形につながると思います。真彩は、ともに舞台をつくっていくなかで理解を深め合うことができる相手役だと感じていますので、力を合わせて精進してまいります。私と真彩の“希望コンビ”、そして新生雪組をどうぞよろしくお願いいたします。」
雪組トップ娘役 真彩 希帆【マリー=アンヌ】
「お芝居では、大好きなフランク・ワイルドホーンさんに全楽曲をご提供いただけるので、どのようになるのか今からとても楽しみです。フランス革命の中に生きた一人の女性として、歴史や登場人物との関係性を大切に、丁寧に演じてまいります。そしてレヴューでは、野口先生のご指導のもと、自分自身の様々な色をお見せしていけたらと思っております。尊敬する望海さんにしっかりと付いていき、出演者の皆様とともに新生雪組が“出航”できればいいなと思っております。お客様に楽しんでいただける舞台をお届けできるよう、精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』の作・演出は、文学作品から歴史ものまで幅広いジャンルに挑み、深く掘り下げる緻密な作品創りで観客の心を揺さぶる生田大和です。フランス革命という題材を、従来とは違った角度からとらえた物語に注目が集まります。
新たなロベスピエール像を描く
生田 大和(作・演出)
「本作は雪組の新しいスタートを切る作品であり、私と縁が深い望海風斗の大劇場お披露目公演です。また、フランク・ワイルドホーンさんに全楽曲を素晴らしいメロディーで彩っていただける作品でもありますので、私にとっては特別な作品になると思います。マクシミリアン・ロベスピエールは『1789』や『THE SCARLET PIMPERNEL』などの宝塚歌劇でも馴染みの深い人物ですが、理想に燃える青年として描かれることもあれば、また一方では恐怖政治の独裁者として描かれています。同じ人間がなぜ正反対のような人物になってしまったのか。彼が見ていたもの、そして彼が本当に望んでいたものは何だったのか、そこを描くことで作品自体の個性を見い出していきたいと思っております。
望海は、外面だけでなく、内面から役の人物像や感情を発することのできる役者で、それを表現することができる“歌唱力”をもっています。それは単純に“かっこいい”“美しい”という価値観を超えた興奮で観客を魅了することができる、彼女の最大の武器でもあります。そういった、彼女がこれまで培ってきた魅力と、トップスターとしての新しい魅力の両方を表現できる役を模索した結果、たどり着いたのが、このロベスピエールという役でした。
相手役の真彩希帆はとてもハートとパワーがあり、フレッシュな輝きを持っていますし、内側に掘り下げていく力もあると思います。それを歌という形で表現できるところが魅力ですね。
望海と真彩、似ているようで全く異質の魅力をもった二人が舞台上でどんな化学反応をおこすのか、非常に楽しみです。この特別な意味を持つ作品を、心して務めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。」
『SUPER VOYAGER!』の作・演出を手掛けるのは、『THE ENTERTAINER!』(2016年・星組)で宝塚大劇場デビューを果たした野口幸作です。今回は新生雪組のためにどんなスペクタクルでエンターテインメントあふれるレヴューにしていきたいのか、その想いを熱く語りました。
新生雪組の船出を祝福する颯爽絢爛なレヴュー!
野口 幸作(作・演出)
「『SUPER VOYAGER!』は、望海風斗と真彩希帆の“希望コンビ”誕生と、新生雪組の船出を盛大に祝福する爽やかで颯爽絢爛なレヴュー作品です。“望海風斗”の4つの漢字、すなわち“望(HOPE)”“海(OCEAN)”“風(WIND)”“北斗七星(BIG DIPPER)”の場面で構成しているのですが、この4つの場面に、望海のもつ男役の美学やレヴューの美学を詰め込んだ、タカラヅカならではのエンターテインメントあふれる作品にしていきたいと思っております。プロローグではお客様と一緒になって雪組の船出を祝福する企画もご用意しておりますので、楽しみにしていてください。
望海は、歴代の男役を非常によく研究していて、それをしっかりと自分のものにして表現できる人ですので、“これぞタカラヅカ”というものをストレートにお見せしたいと思っております。また、歌唱力に定評のある望海ですが、彼女の歌はとても丁寧な印象を受けます。上手いということは丁寧にやることなのだと、彼女を見ていると感じます。そんな彼女の歌を堪能いただける場面もつくっていきますのでご期待ください。
真彩は、度胸があり、多少困難なことにもチャレンジしてくれる娘役ですので、今回はちょっと難しいことにも挑戦してもらう予定です。もちろん、歌唱力のあるトップコンビですから、二人のデュエットもお楽しみいただけたらと思います。
皆様には劇場で新生雪組の船出と、タカラヅカ・レヴュー90周年、そして100年に向けての船出も一緒に祝っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。」