制作発表会レポート

ロック・ミュージカル『NOBUNAGA＜信長＞ －下天の夢－』の作・演出を担当するのは大野拓史。“天下の傾奇者”の男らしい生き様をダイナミックに描いた『一夢庵風流記 前田慶次』（2014年）、現代的な感性でロマン溢れる王朝絵巻を演出した『新源氏物語』（2015年）など、日本物の魅力溢れる作品を数多く手掛けてきました。本公演では「下天（人の世）」に華々しく駆け抜けた織田信長の世界を巧みにつくり出します。
シャイニング・ショー『Forever LOVE!!』の作・演出を担当するのは、ゴスペル音楽を斬新に綴った『GLORIOUS!!』（2000年）での大劇場公演デビュー以来、数々の優れたショーを生み出してきた藤井大介。昨年（2015年）、龍真咲初のコンサート『DRAGON NIGHT!!』を手掛け大好評を博した藤井大介が、龍真咲のラストステージをエネルギッシュにドラマティックに盛り上げます。
それぞれが制作発表会で意気込みを語りました。 　　

信長像への期待、それを超えるものをつくり上げる

「織田信長を主役に舞台をつくると決まってから、いろいろな方に“こんな信長を観たい”“あんな信長を観たい”など、期待のお声をたくさんいただきました。龍と組めば、その期待を超えるものをつくることができるはずだと、楽しみにしております。トップスターの退団公演は何度か担当させていただきましたが、毎回そのスターの退団公演に相応しい形に近づけようと懸命に取り組みます。今回、龍が、『月組の多くの生徒に活躍させてあげてほしい』『みんなで一緒に頑張ることのできる場面がほしい』と言っているのを聞き、あらためて彼女が“組織を束ねるトップになったんだな”と感慨深かったです。そんな龍が演じる信長に私も刺激を受け、しっかり自分の仕事を務めたいと思います。」 　　

一生に一度の退団公演。龍の一番いい部分を引き出したい

「退団公演ということに関わらず、いつもトップスターと組のカラーを意識して、生徒一人ひとりの一番いいところを引き出そうと心がけています。ただ、やはり退団公演はトップスターにとって一生に一度のものですので、龍の魅力を最大限に引き出していきたいと思っています。『Forever LOVE!!』では現代的な感性を持ちながらも、誰より宝塚歌劇を愛する彼女ならではの“愛”をたっぷりお見せしたいです。また、龍が愛する月組には非常に個性的で素敵なスターがたくさんいるので、彼女たちの魅力もあわせてお楽しみいただけるショーになるよう、これからさらに深めていきたいです。龍とは彼女の下級生の頃から非常に縁が深く、100周年記念公演『TAKARAZUKA 花詩集100!!』を担当しました。これまでずっと月組を引っ張ってきてくれた龍に相応しいショーを皆様にお届けしたいです。」 　　

パフォーマンスの興奮冷めやらぬ中、月組出演者の龍真咲、愛希れいか、珠城りょう、凪七瑠海、美弥るりかの5名も、作品への意気込みなどを語りました。 　　

タカラヅカ人生を反映した歌や役に命を吹き込む

「生きている時代は違うのですが、信長には天下統一という夢がありました。私も幼いころから宝塚歌劇団に入るという夢をもちつづけ、幸いにもその夢を実現させることができました。そして今、私は最後の舞台を成し遂げようとしています。そのラストステージに信長を演じることができることをとても嬉しく思っています。きっと、これまで私が人に薦めてもらった本が信長に関連するものであったり、興味を持って観た映画に信長が出ていたりと、何かとご縁が多かったことにも因るのだと思っています。」 　　

Ｑ.　本日パフォーマンスで歌を披露されて、どのようなお気持ちですか？
「お芝居の歌もショーの歌も、私のタカラヅカ人生をうまく反映してつくってくださっていると感じました。藤井先生とは入団5年目の時に出演した宝塚バウホール公演『Young Bloods!!』以来、何作もご一緒させていただいています。私の下級生の時から、泣いたり笑ったりという成長を温かく見守ってくださった先生のつくられた歌詞は、私そのものを理解してくださっていると、しみじみ感じるものでした。舞台上ではその歌を、龍真咲としてのドラマティックなメロディーにもっていくことを強く意識して、私の心の声をお届けしたいと思います。」 　　

立ち回りもこなし、帰蝶役をしっかり務めあげる

「大野先生の日本物に出演させていただけて、とても幸せに思っております。織田信長の正室である帰蝶はどのような人物なのか、まだいろいろと想像がつかないので、これからじっくり考えて深めていきたいです。本日のパフォーマンスでは初めて立ち回りを経験させていただきました。長刀を使っての立ち回りなど、難しいのですが、しっかりお見せできるように精進してまいります。ショーのパフォーマンスでは、龍さんの歌の影コーラスをさせていただきました。とても素敵な歌詞とメロディーですので、どのような作品になるのか今から大変ワクワクしております。」 　　

大きな野望を秘めたロルテス役。歴史も勉強したい

「お芝居で演じさせていただくローマ出身の騎士・ロルテスは、『マルタ騎士団に所属し、マルタ島を追われたことへの汚名返上のために、日本に乗り込んでくる。国崩しのつもりでやって来る。』ということを大野先生からうかがいました。その後皆さんとどのように絡んでいくのか。全貌が明らかになるのを楽しみに、当時の歴史についても勉強していきたいです。ショーの方は、龍さんが歌われた主題歌を聴き、色々な愛の形を感じることができました。今日は少しだけでも影コーラスをさせていただけて嬉しかったです。」 　　

謎多き明智光秀について理解を深めていきたい

「私が演じさせていただく明智光秀は、謎多き人物で、その点に魅力を感じています。彼が本当のところ何を思っていたのか、信長に対しての気持ちなどの理解を深めていきたいです。またこの公演は龍真咲さんの退団公演です。いま月組は龍さんを中心に、とてもまとまりのある組になっていると思うので、私たち月組メンバーは龍さんを支え続け、龍さん演ずるお屋形様（信長）に、最後まで付いて行きます。」 　　

秀吉として信長様の草履を温め、背中を追いかけたい

「大変有名な羽柴秀吉を演じるうえで不安もありますが、役をつくり上げる楽しみを感じています。秀吉は懐で草履を温めて信長に差し出したというエピソードがありますが、龍さんは大変人気者なので皆で草履の争奪戦になると思います(笑)。私は秀吉として一番に草履を奪いに行き、毎日温めて差し出したいなと思っております。ショーは、（パフォーマンスで）龍さんが歌われた主題歌が、すぐに口ずさんで帰られるぐらいに素敵な曲だなと感じました。最後の日まで龍さんの背中を追いかけて、最高の舞台をつくれるように精一杯頑張ってまいります。」